椎間関節捻挫:病態


椎間関節は背骨の後方にある左右一対の小さな関節で
上下の骨が関節面で接し関節包*、滑膜*を持つ完全な関節です。
頚椎(C:首)7対、胸椎(T:背中)12対、腰椎(L:腰)5対の関節があります。
仙骨(S:骨盤、仙骨)

*滑膜:関節包を覆う薄い膜.滑液を産生し関節の中の潤滑油としての役割と軟骨の栄養を担当.
*関節包:関節を囲む袋状の被膜.腕や足など大きく動く関節の構成要素の一つ.


椎間関節捻挫はいわゆるぎっくり腰と呼ばれる腰痛の代表的疾患で
急激な発症は重いものを持った際、体を捻った際に関節包の断裂や嵌頓により激しい痛みが出現します。




椎間関節捻挫:臨床症状


急性腰痛、ぎっくり腰の代表的疾患で
関節捻挫が起きやすいのは腰の中でも運動量の多いL4ーL5、L5ーS1の間です。

疼痛(痛み)は腰の下の方に生じることが多いと言われますが
お尻や足に痛みを感じることも珍しいことではありません。

前屈み、後ろに反らす際の痛み、起床時、靴下などの着脱時にも痛みが目立ちますが
腰痛の軽減とともに改善するため自分の腰痛の改善度を測るバロメーターの一つになります。




椎間関節捻挫:かんたんに言うと


背骨の関節が捻挫を起こしたために、関節を包むスジが強く伸ばされ
小さな傷ができて炎症を起こしている状態です。




椎間関節症:病態


椎間関節は滑膜関節で、中高年以降になると次第に退行変性*を起こして関節症が発生します。
*退行変性:加齢とともに生じる変化
(いわゆる変形.ネガティブに捉えがちですが、最近の見解では
生命力の証という考え方が広まっています)

滑膜の充血や炎症、関節軟骨の表層の摩耗・消失や、骨の辺縁部の骨増殖による
骨棘が生じた関節の適合性の悪化は慢性腰痛として出現します。

椎間関節に変性が起きると関節包の肥厚や緊張が起こり
弾力が減少して断裂や出血が起こりやすい状態になります。

特にはっきりした原因もないのにぎっくり腰が起きてしまったという人は
発症する前にすでに椎間関節にこのような関節症性の変化が起きていることがほとんどです。




椎間関節症:臨床症状


急性発症は30歳代が最も多く、慢性的な発症は中高年に多いと言われます。
(発症後、適切な治療をしないとかなり長引きます)

痛みの範囲はこちらも比較的下方であることが多く、臀部にも痛みを感じる人もいます。

片側が痛い人も両側が痛い人もいて、起床時や動き始めの痛みが強く体を動かしていると
痛みが軽減してくるという特徴があります。




椎間関節症:かんたんに言うと


背骨の関節の血液循環が悪くなって関節の滑らかさがなくなっています。
関節の周りのスジも硬くなってしまい、炎症を起こしています。